参議院選挙のマニュフェストの前に2012年衆院選の民主党マニュフェストをおさらい
今考えればあの時に何を言っても焼け石に水だったと言われるだろう。アベノミクス効果を感じる国民からすれば、民主党政権はなくてもよかったと言う人も多いかもしれない。
だけどずっと与党にいた自民党(野党連合がとった時は別として)が野党に落ちた意味はある。盆はひっくり返さなければ底にゴミは堆積してしまうのだから。
今回の民主党政権は天災も加わり日本を変えた節目となったのは間違いない。結局何も変えられなかったけど、政権が変わった意味があったと思う。
では2012年の衆議院選挙のときのマニュフェストを振り返ってみよう。
キャッチコピーは「(動かすのは)決断。」
責任ある改革をやっていきますというものだ。
①社会保障改革の断行。
②持続可能な新しい成長を探す。
③原発ゼロをめざし、エネルギー改革を推進。
④現実的な外交・防衛政策。
⑤議員定数削減、脱世襲の徹底。
①に関しては子供手当どこにいった?という気がするが、それはおいておこう。基本的に3つ。
子育て支援、医療介護保険の負担軽減、年金受給資格期間の短縮・低年金者への給付金。
いいところだらけに見えるが、消費税増税というトレードオフな条件をしっかりと国民に示せたのは大きい。負担なくして補償だけを厚くしてほしいというのは無理だ。ただ、年金制度などは小さい字で社会保障制度改革国民会議の議論を通じて・・・とにごす。ここら辺は自民党と変わらない。
②デフレ脱却、エネルギー・医療福祉・農林水産での雇用を増やす。観光の活性化などがあるがアベノミクスと比べるといささか言葉だけな感じもする。
③福島を反省点ととらえ原発ゼロへ。当時の政権運営としてはそういう舵取りも妥当か。そして原発はある意味閉ざされた権力や利益の温床ともいえるので、しがらみの撤廃という観点もあったのかもしれない。
ただ反原発のデモが多かった割には民主党に票は入らず。脱原発よりも景気を考える人が多かったとも言えるが、民主党への不信感の方が大きかったか。
④外交も混迷を極めた。ただ万年野党だった人たちがシャドウキャビネットとして実力を付けていたとは思えない。つまり政権運営は自民党はもとより、官僚なども含めて新しい政権を支えなければ成り立たない。
ただすぐに政権が交代するのではと思われれば誰も手伝わない。外交は人なので、支援がなければ難しいのはいわずもがな。準備不足とはいえ不遇な環境だったとも思う。
⑤議員定数の削減と世襲の撤廃、企業団体献金の禁止。ここらへんは民主党らしい主張で、野田さんが最後に阿部さんに確約してくださいよと言っていた部分でもある。
一部だけやってあとはまた自民党の得意のパターンになりつつあるけど。野党としてもう一度このあたりの突込みはしっかりとやってほしいと思う。無駄を削り、不正をなくさなければ国民は負担増に対して嫌気を覚えてしまう。
結果から言えば民主党は大敗。しかし衆議院選挙マニュフェストは悪くは無かったと思う。与党として無難ともいえる内容であったのだが、選挙はそのタイミングでの発言より政権運営能力の方が重視される結果と言えるのだろう。